Point
  • 日常的な記録と報告
  • 学期ごとの記録と報告(実施報告書の作成)
  • 指導要録への記載

通級による指導において、児童生徒が在籍する学級の担任や保護者をはじめとする関係者との連携は、児童生徒の切れ目ない支援にとって欠かせないことです。
様々な関係者との連携を進めていくにあたっては、通級による指導の内容を適切に記録し、報告していくことが大切です。

ここでは、通級による指導の記録の仕方や報告の際のポイントを説明していきます。

日常的な記録と報告

通級による指導を行った際には、その日の指導内容や児童生徒の様子について、連絡ノートなどに記録し、在籍学級担任や保護者と共有しましょう。
(詳しくは「在籍学級担任との連携」をご覧ください)

また、毎回の通級による指導ではなく、一定のまとまった時期で指導の記録を作成することもあります。例えば、以下の表は、2週間ごとに通級による指導の指導内容を記録し、授業中に配慮してほしい事柄などを在籍学級担任や各教科担任に伝わるように工夫している記録シートです。この記録シートを関係する教員に回覧し、報告することで、該当する児童生徒の情報が共有できます。

学期ごとの記録と報告

学校で通知表などが作成される時期(学期ごと、前期・後期、年度末など)に合わせて、通級による指導の記録(経過報告書や実施報告書)を作成します。年度末の記録は、指導要録への記載にも 関係しますので、詳細は後述します。

通級による指導の記録は、当該児童生徒の氏名、在籍している学校名、通級による指導の授業時数、指導期間、指導の内容や結果などを記載します。通級による指導の記録や指導の報告に関する書式(様式)は、地域や学校によって異なります。教育委員会などにより様式が定められていると思いますので、管理職に確認してみましょう。学校によっては、個別の指導計画に必要事項を加えて指導の記録としているところもあります。

他校通級や巡回指導においても、授業時数、指導内容、成果などを在籍学級担任などに伝えることは大切です。

他の学校に在籍している児童生徒に対して、通級による指導を行っている学校では、当該児童生徒を自校の児童生徒と同様に責任を持って指導するとともに、通級による指導の記録を作成して、その記録の写しを在籍する学校にも通知します。

なお、通級による指導の記録については、個別の指導計画や個別の教育支援計画、指導要録と同様に、その作成や適正な管理が求められており、指導要録などの公簿に準ずるものとして取り扱うようにします(「学校教育法施行規則の一部改正等について(通達)」2016.12)。

指導要録への記載

文部科学省(2018)「障害に応じた通級による指導の手引き」の中では、通級による指導の内容を指導要録に記載することについて、次のように示されています。

通級による指導を受ける児童生徒の成長の状況を総合的に捉えるため、指導要録において、通級による指導を受ける学校名、通級による指導の授業時間数、指導期間、指導の内容や結果などを記入することが必要です。なお、他の学校において通級による指導を受けている場合には、当該学校からの通知に基づき記載します。

「学校教育法施行規則の一部改正等について」(H5.1.28)
「障害のある児童生徒等に対する早期からの一貫した支援について」(H25.10.4)
「学校教育法施行規則の一部を改正する省令等の公付について」(H28.12.9)

上記の内容は、指導要録の「総合的所見及び指導上参考となる諸事項」の欄に記入します。他校において通級による指導を受けている場合は、当該学校からの通知に基づき、児童生徒の在籍学級担任が記載することとなります。

指導要録の記載にあたっては、通級による指導の担当教員と在籍学級担任、特別支援教育コーディネーター、校長などの関係者が情報交換した上で、記載内容を検討・確認することが大切です。

例えば、以下のような指導記録が送付された場合について具体的に考えます。

上記のような1年間の指導記録が送付されてきた場合、当該児童の在籍学級担任は、指導要録の「総合的所見及び指導上参考となる諸事項」の欄に、例えば、次のような記載を行います。

○○小学校言語障害通級指導教室に週2単位時間、令和〇年4月から令和◎年3月まで通級し、言語指導を受ける。
学校名:○○小学校
授業時間数:週2単位時間、合計70単位時間
指導期間:令和〇年4月から令和◎年3月まで
指導内容:自立活動(発音指導・ソーシャルスキルトレーニング)

指導要録に記載するのは、在籍学級担任ですので、「担任連絡会」(「在籍学級担任との連携」を参照)の際、指導要録の記載について、「総合的所見及び指導上参考となる諸事項」の欄に簡潔に書くことを伝えておきましょう。

■監修・著
小林倫代(こばやし・みちよ)
独立行政法人国立特別支援教育総合研究所名誉所員