Point
  • 特別支援学級の指導方法とは?
  • 特別支援学級が目指す授業づくりとは?
  • 指導形態について

特別支援学級の指導方法とは?

特別支援学級は、障害のある児童生徒が在籍する学級です。

特別支援学級の指導方法を考えるときには、まず、このことを心に留め、自立活動の意義や内容を理解し実施する場合、さらに各教科等の指導を通常教育に準じて実施する場合でも、障害特性に配慮した指導方法を考える必要があります

下の写真は、軽度の知的障害者4名(小学校4~6年生)が在籍する、知的障害特別支援学級の国語科指導終了後の板書です(授業者:知的障害特別支援学級担任 藤田直子先生、2017年度)。

この授業では、知的障害がある児童生徒の特性に配慮し、本時のめあてを達成するために多くの工夫が盛り込まれています。
本時間の学習のめあては、「トノサマバッタは、どんなところにすんでいるのでしょうか? なぜ、そこにすんでいるのでしょうか」です。

  1. めあての意図を理解させるための工夫 -その1-

      前時の学習「見分けがつきません」の視覚的な情報を提示し、本時のめあてにつながる情報を再確認する(記憶力が弱い特性に配慮)。

  2. めあての意図を理解させるための工夫 -その2-

      提示しためあては何を求められているのか理解できるように、「~か?」といった質問文であることを再確認する(抽象的な文章の理解を促す配慮)。

  3. 活動を遂行するための工夫

      キーワードとなる文言を見つける活動において、文中の単語を隠しておく(集中力を保持するための配慮)。

  4. 活動を具体化して理解させる工夫

      前時の学習である「見分けがつかない」という擬態を示す手がかりにつなげるために、背景と同じ色のバッタを置く活動を通して「見分けがつかない」ことに気付かせる(抽象的な内容を具体的な活動で理解を促す配慮)。

  5. 板書の工夫

      分かち書き、単語を区切らずに板書を記述する方法(文字の読みに配慮)。

特別支援学級の効果的な授業づくり

先の例で示したように、特別支援学級での授業では、障害のある児童生徒の特性に配慮しながら、学習する内容や指導目標に応じた指導上の工夫が大切です。


特別支援学級で行う「特別の教育課程編成」では、自立活動を指導に取り入れることや、下学年の指導目標や内容を取り入れることも可能です。しかし、だからといって、国語や算数・数学の授業で下学年の漢字ドリルや計算ドリルだけを行うのでは意味がありません

反復的で機械的なドリル学習は、学習の定着をねらう際は良いかもしれませんが、例えば知的障害教育では、将来の生活に役立つ学習内容を具体的で実際的に指導する必要がありますので、障害特性を踏まえた授業づくりが必要になります。同様に、長期間の不登校状態の児童生徒や、長期間入院していた児童生徒は学習空白が生まれますので、その空白を補うための教科指導なども配慮が必要になります。

また、教科指導において下学年の目標や内容を取り入れるとしても、在籍する児童生徒の自尊心への配慮は必須です。ある先生は、下学年の教科書教材を使用する際も、その単元や教材のみを印刷して冊子にするなど、使用する児童生徒に学年が分からないよう配慮をしています。


特別支援学級の効果的な授業づくりは時間がかかります。それは、特別支援学級の担任が障害に関する知識を得て指導方法を試行錯誤することを意味しているからです。

しかし、1年目から2年目、3年目・・・と時間の経過とともに指導方法も納得する形になってきます。先生方、どうぞ諦めずに3年間は特別支援学級の担任を続けて下さい。筆者からの要望でもあります。

特別支援学級の指導形態

特別支援学級では在籍する児童生徒の人数や障害種、自立活動の指導や教科指導、また,交流及び共同学習での指導目標によって、さまざまな指導形態がありますが、代表的なものに、以下のようなものがあります。

  • マンツーマンでの個別指導
  • グループ別指導(学年混在、障害種別のグループも可)
  • 在籍者全員による集団指導(在籍者の人数から主に小集団)
  • 交流及び共同学習における通常の学級での指導

これらの指導形態を、児童生徒の特性、在籍学級や交流学級の環境、指導する内容に応じて適切に組み合わせながら、特別支援学級での授業づくりを進めるようにしましょう。

  1. 個別指導

    例えば、弱視児童生徒の自立活動における個別指導では、見えにくさを改善するための弱視レンズなどの視覚補助具の取り扱い方や、見ようとするものへレンズのピントを調整したりするなど、対象児童生徒の指導目標を踏まえた指導を行います。
    また、難聴児童生徒には、補聴器や人工内耳などの活用の仕方、発音指導や言語指導、コミュニケーションに関する指導などを行います。
    さらに、病院内に設置されている病弱・身体虚弱特別支援学級(院内学級と呼称)では、特別支援学級の担任が病院内職員と連携を取りながら、対象の児童生徒に対し訪問指導を行い、ベッドサイドで教科指導などを行うこともあります。
    このように、個別指導は、対象児童生徒の特性に応じた指導内容を選択して指導を行います


  2. グループ別指導

    特別支援学級は異学年の児童生徒が混在し、同一学校内に複数の障害種別特別支援学級が設置されている現状もありますので、学年や障害種を混合したグループ指導を行う際は、目的や指導内容、指導者の役割を明確にして編制を行い、グループでの学習活動が効果的になるよう配慮する必要があります
    例えば、同一学校内に知的障害特別支援学級や自閉症・情緒障害特別支援学級が設置されている場合、同じような知的障害の程度のグループ編制を行い(知的障害者と知的障害を伴う自閉症者)、教科学習などを実施することも考えられます。
    また、知的障害のない自閉症の児童生徒のグループ編制を行い、他者とのコミュニケーション力を培ったり感情を調整したりするなどをねらいとした自立活動を行ったりします。

  3. 在籍者全員の集団指導

    特別支援学級では、異学年の児童生徒が在籍していることを有効に活用するため、在籍者全員で日々繰り返し行うルーティンの活動や、ダイナミックな活動を行ったりします。
    ルーティンの活動では、知的障害特別支援学級などが1時間目に日常生活の指導として、通常学級で行う朝の会の拡大版(健康観察、曜日や天気、昨日行ったこと、一行日記の発表)など、毎日繰り返して定着させる指導があります。
    ダイナミックな活動では、ゲーム活動や物づくりなどがあります。例えば、自閉症・情緒障害特別支援学級では、自立活動のメニューに風船バレーなどを行い、粗大運動を行いながらルールの遵守、応援の仕方や声掛けの方法などを学びます。
    このように、在籍者全員が揃って学ぶことで、子ども同士のやり取りから生まれるコミュニケーションスキルの向上、子ども同士がモデルになることで教師の視点になかった学び方の習得など、個別指導にはないメリットが生まれます


  4. 通常の学級での交流及び共同学習

    障害のある児童生徒と障害のない児童生徒が共に学ぶことは、共生社会を推進するための基盤となる考え方です。そのため、特別支援学級に在籍している児童生徒の交流及び共同学習は、非常に重要な指導形態となります。
    しかし、ただ単に場を一緒に過ごすだけでは真の意味での交流及び共同学習にはなりません。特別支援学級の在籍児童生徒が通常の学級で学ぶ目的を明確にするとともに、特別支援学級の児童生徒が交流学級(協力学級ともいう)で学習を行う際に必要な手立てや配慮、さらに結果などについても交流学級の担任との情報の共有が大切になります。
    また、交流及び共同学習を行う際は、特別支援学級の在籍児童生徒に対する合理的配慮も必要になりますので、個別の指導計画の作成の段階で交流学級の担任との相談が重要です。

■監修・著
廣瀬由美子(ひろせ・ゆみこ)
明星大学教育学部教授