Point
  • 週時程表の作成にあたって確認・検討すること
  • 交流学級や学校との連携

特別支援学級は、小・中学校とも異学年の児童生徒が在籍している上に、障害の程度も状態も個々によって異なります。
学級によっては在籍する児童生徒の人数も異なりますし、校内に複数の障害別特別支援学級が設置されている場合もあります。

ですから、一概に週時程表の作成はこのようにすべきとは言えませんが、ここでは、その作成において、確認しておくべき情報、配慮や検討すべき内容について説明したいと思います。

週時程表の具体例

これは、小学校の知的障害特別支援学級に2年生1名、3年生2名、5年生1名の計4名が在籍していると仮定した週時程表の例です。赤字は、それぞれの児童が「交流学級(協力学級も呼称)で交流及び共同学習を行う時間」、黒字は「特別支援学級で学習をする時間」としています。


この学級では、在籍する児童の学年や交流学級が異なるので、在籍児童全員で行う教科・領域、交流及び共同学習で行う教科・領域そして、自立活動をどのように行うか、などを検討して週時程表を作成していきます。


1時間目は、在籍児童全員による「日常生活学習」として帯状に位置付けています。これは、知的障害特別支援学校の学習指導要領を参考に指導する「各教科等を合わせた指導」の内容で、自立活動の内容を加えて指導を行います。


2時間目は、在籍児童全員による教科学習にしています。これは、通常の学級でも1~2時間目は国語や算数にすることが多いこと、また、交流及び共同学習が難しいと想定される知的障害の児童においては、特別支援学級での国語や算数などの教科学習を設定することが多いためです。
その際、4名の在籍児童の知的障害の程度を想定して、国語や算数の目標及び内容の一部を下学年の目標及び内容に替えて実施することを想定しています。


交流および共同学習は、児童の実態に応じて、交流学級で一緒に学習できそうな教科(音楽や図画工作、体育や家庭など)で行うようにしています。
なお、仮想の週時程表はすべての時間を記述していませんが、在籍児童の実態によっては、道徳や外国語活動においても交流及び共同学習を行うか否かを検討します。


火曜日の3時間目は在籍児童全員による生活単元学習とし、教科等の学習や交流および共同学習で習得した内容を生活の中に定着させること、また、さらに発展させることができるように計画をしています。


このように、特別支援学級の週時程表の作成において、確認や配慮,検討をするさまざまな内容がありますが、以下の3つの点は最低限確認しておくようにしてください。

  1. 在籍児童生徒の学年と人数
    在籍している児童生徒たちが、複数学年にまたがっているのか、同じ学年に複数の児童生徒が在籍しているのかなどの情報は、交流及び共同学習を行う際の交流学級(協力学級も呼称)の決定に関与してきます。
    (参考:「特別支援学級の交流及び共同学習」)

  2. 在籍児童生徒全員を指導する時間の確保
    自立活動を実施する際や、各教科等の指導を行う場合、また知的障害特別支援学校の学習指導要領を参考にして指導する各教科等を合わせた指導(例えば生活単元学習など)を行う場合など、学級のまとまりをつくる上でも、在籍児童生徒全員が集まれる時間の確保が必要です。
    (参考:「自立活動」)

  3. 在籍児童生徒の知的障害の有無
    知的障害特別支援学級以外でも、例えば自閉症・情緒障害特別支援学級には知的障害を併せ有する自閉症の児童生徒が在籍する場合もあります。特別支援学級の教育課程編成に関係しますが、知的障害の有無によっては各教科の目標や内容を下学年のものを用いて指導を行う場合があります。
    (参考:「知的障害特別支援学級」)

週時程表は学級用と在籍者全員用を作成する

前述した仮想事例でも確認したように、特別支援学級では、交流及び共同学習の時間と、在籍者全員が学ぶ時間が混在しているため、曜日ごと時間ごとに、それぞれ学ぶ教室(場所)が一人ひとり異なります

したがって、特別支援学級用としての週時程表を用意するとともに、各児童生徒用の週時程表を在籍者分作成し、交流学級で学ぶ交流及び共同学習の時間は枠を囲むなどして、1日の時間、曜日によって、どこで何の学習を行うのかが明確にわかるようにしておくことが大切です。

また、掲示物を貼っておく場所や教員の机の後ろなどに、学級用と各児童生徒用の週時程表を提示しておくと、曜日ごとの担任の動きや在籍者の交流及び共同学習の出入りがわかりとても便利です。

交流学級や学校との連携

実際に、特別支援学級における週時程表を作成するには、交流学級の担任や教務主任など、学校全体での連携や調整が必要になります。それは、以下のような理由によります。

  • 交流学級と特別教室(音楽室や家庭科室、体育館など)で交流及び共同学習を行う場合などは、学校全体で使用する特別教室の割り振りが必要になるため。
  • 中学校においては教科担任制でもあることから、特別支援学級に教科担任が指導に入る時間や、交流学級での交流及び共同学習の実施といった複雑な要素が絡み合うため。
  • 特別支援学級に在籍する児童生徒の中には、交流及び共同学習の時間に特別支援学級の担任が付き添って交流学級で援助指導を行うことがあり、その際、特別支援学級に在籍する児童生徒全員が、交流学級で交流及び共同学習の指導を受けていないと、特別支援学級の担任が不在となってしまい、当該児童生徒の交流および共同学習が実施できないことが考えられるため。

したがって、在籍する児童生徒の交流学級の週時程表が作成されてから特別支援学級の週時程表を作成するとなると、交流及び共同学習の時間がバラバラになり、在籍者全員が揃う時間を確保できず結果として集団での指導が難しくなる場合も出てきます。


その解決のためには、特別支援学級の週時程表を一番先に作成し、音楽や体育といった交流学級での交流及び共同学習の時間を可能な範囲で揃えてもらい、次に在籍者の交流学級の週時程表を作成し、最後に学校全体の各学級の週時程表を作成・調整するといった手順が必要になります

しかし、このような体制ができるまでには特別支援学級への理解が必須となり、長期的な時間を必要としますので、初めて特別支援学級を担任した場合は、まず前担任が作成した週時程表を踏襲しながら、翌年に自分の考えを加えながら改善して貰うといったことが重要になります


特別支援学級の週時程表の作成では、特別支援学級の担任が在籍児童生徒にどのような指導を行うか、どのような力をつけたいのか・・自分の考えを明確にする必要があります。初めての担任では、その思いを明確に持つのは難しいと思いますので、ぜひとも、2年目、3年目にチャレンジしていってほしいと思います。

■監修・著
廣瀬由美子(ひろせ・ゆみこ)
明星大学教育学部教授