Point
  • 自立活動の教育課程上の位置づけ
  • 対象となる児童生徒
  • 自立活動の6区分27項目

自立活動とは?

自立活動は、特別支援学校、特別支援学級、通級による指導の場において、特別に設けられた指導領域で、特別支援学校学習指導要領で、以下のように定められています。

自立活動は,個々の児童又は生徒が自立を目指し,障害による学習上又は生活上の困難を主体的に改善・克服するために必要な知識・技能・態度及び習慣を養い,もって心身の調和的発達の基盤を培う。

特別支援学校 小学部・中学部学習指導要領(平成29年4月公示) 第7章 第1 目標より引用

自立活動は、特別支援教育の土台、中核となる指導であり、通常の教育では実施することのない領域であることから「特別の指導」とよばれています

特別支援学校学習指導要領にも、小・中学校などの学習指導要領と同様に、すべての幼児児童生徒に対し人間として調和のとれた育成を目指すことが明記されています。


そして、その柱となる資質・能力が

  • 何を理解しているか、何ができるか(知識・技能)
  • 理解していること・できることをどう使うか(思考力・判断力・表現力など)
  • どのように社会・世界と関わりよりよい人生を送るか(学びに向かう力,人間性など)

の3つの要素(以下3要素)です。


定型発達の幼児児童生徒には、各教科等において系統的に示されている目標や内容を発達段階に応じて指導することで、この3要素がバランス良く育成されていきます。

しかし、障害のある幼児児童生徒は、その障害ゆえに日常生活や学習において様々なつまずきが生じてしまうため、定型発達の幼児児童生徒と同様の指導では、3要素の育成が十分ではありません。

そこで、各教科等の指導に加え、特別の指導である「自立活動」の領域を設け、その指導を行うことによって、3要素の育成を目指しているのです。

自立活動の対象となる子どもは?

下の表は、学びの場における、自立活動の取り扱いについて整理したものです。

通常の学級に在籍する児童生徒であっても、特別な支援が必要であれば、その状態に応じて、自立活動の内容を参考にして指導にあたることを意識しておきましょう

自立活動の内容は?

自立活動は、「人間として基本的な行動を遂行するために必要な要素」と「障害による学習上または生活上の困難を改善・克服するために必要な要素」で構成され、6つの区分と27の項目に整理されています。

この6区分27項目は、自立活動の具体的な指導を行うために必要となる要素を示しているものであり、各教科等のように、すべてを行うものではありません
障害のある児童生徒一人ひとりの状態に合わせて、27項目から必要な要素を選び出し、それを具体的な指導として構築することになります。


例えば、ささいなことですぐに暴言を放つ児童生徒に対して自立活動の指導を行う際は,

  • 「心理的な安定」区分
    (1)情緒の安定に関すること
    (2)状況の理解と変化への対応に関すること
  • 「人間関係の形成」区分
    (3)自己の理解と行動の調整に関すること
    (4)集団への参加の基礎に関すること

などの要素を選び出し、この4つの要素から具体的な指導内容を構築していくことになります。

自立活動の指導では、児童生徒一人ひとりの実態把握から必要とされる要素を選び出し、相互に関連付けながら、具体的な指導内容を設定して指導を行う必要があります。

そして、指導目標や指導内容・指導方法などを明記した個別の指導計画とともに、一人ひとりに対し評価を行います。

対象の児童生徒に対する評価はもちろんですが、指導者にとっても、自立活動の目標や内容、方法などを評価し見直す視点が大切です。

障害の捉え方と自立活動

自立活動が指導の対象とする「障害による学習上または生活上の困難」について、特別支援学校学習指導要領解説自立活動編では、国際生活機能分類(ICF)との関連で捉えています。

ICFでは、人間の生活機能は「心身機能・身体構造」「活動」「参加」の3つの要素で構成されており、それらの生活機能に支障がある状態を「障害」と捉えています。
そして、生活機能と障害の状態は、健康状態や環境等と相互に影響し合うものと説明され、構成要素間の相互関係については、下図のように示されています。

障害として捉える際は、疾病や外傷を受けたことによる精神機能、運動機能、視覚、聴覚などの状態を確認します。しかし、疾病や外傷が、即そのまま障害と置き換わるわけではありません。

対象者の個人因子として、本人の年齢や生活感、価値観などを踏まえつつ、生活基盤では個人の活動が可能か否か、社会参加が可能か否か、さらには活動や社会参加をより可能にするための環境因子として、福祉用具や建物などの物理的環境の視点、家族や友人、支援員などの人的環境の視点、制度やサービスが受けられる社会的環境の視点を踏まえ、状況を総合的に勘案して捉えることとしています。


自立活動は、障害による学習上及び生活上の困難を改善・克服するための指導領域ですから、指導を行う際は個人因子のみに着目するのではなく、対象の幼児児童生徒が活動に参加できるように、どのような環境整備を整えるのかという、環境因子の視点からもアプローチを検討することになります。

■監修・著
廣瀬由美子(ひろせ・ゆみこ)
明星大学教育学部教授