Point
  • 在籍学級担任との連携について
  • 連携の具体的な方法について

通級による指導においては、児童生徒の在籍学級の担任と通級による指導の担当教員との連携は重要です。学習指導要領にも、以下のような記述があります。

障害のある児童(生徒)に対して、通級による指導を行い、特別の教育課程を編成する場合には、特別支援学校小学部・中学部学習指導要領に示す自立活動の内容を参考とし、具体的な目標や内容を定め、指導を行うものとする。その際、効果的な指導が行われるよう、各教科等と通級による指導との関連を図るなど、教師間の連携に努めるものとする。(注:下線は筆者)

小・中学校学習指導要領「第1章 総則」第4の2(1)のウ

では、どのような方法で連携を進めていけばよいのでしょうか。

連携の具体的な方法

在籍学級の担任との連携については様々な方法がありますが、ここでは、いくつかの具体的な方法を紹介します。

授業参観

通級による指導の担当教員が、児童生徒の在籍学級を訪問して、授業中の児童生徒の様子を観察し、児童生徒の指導について在籍学級の担任と情報交換します。また、在籍学級の担任も通級による指導の授業参観をして、該当児童生徒への指導について共通理解を図ることが重要です。後で述べますが、他校通級の場合は、教師間で連携する際の工夫が必要です。

連絡ノートなどの活用

連絡ノートは日々の連携の一つとして、活用されています。下の図のように、通級による指導で行った活動内容を担当教員が記入し、保護者を経由して在籍学級の担任に届けられます。それぞれに指導内容を確認し、関わりや指導に役立てるようにします。在籍学級の担任や保護者もそれぞれに児童生徒の様子を記入して、情報交換を行います。

電話・メールなどの活用

他校通級の場合は、在籍学級の担任と直接会う機会が限られるので、電話やメールでの連絡をとります。メールでは、画像や動画も送信することができるので、より具体的な児童生徒の様子が伝えられます。

個人情報のやり取りであるため、児童生徒のプライバシーに配慮するとともに、その取り扱いについては、本人・保護者と協議し、同意を得ておくことも必要です。

担任連絡会

在籍学級の担任や教科担任を対象に、通級による指導の意義や実際の指導などを説明し、児童生徒の学校生活における配慮などを共有します

在籍学級の担任からは、「他の児童生徒に通級による指導をどのように伝えたらよいのか?」とか「通級による指導で学級の授業が受けられなかった補充はどのようにするのか?」という質問が出されることがあります。


他の児童生徒への説明に関しては、本人や保護者に、通級していることを「クラスの友達に説明してもよいか」「どのような伝え方がよいか」などについて、内容や表現の仕方を具体的に話し合って同意を得ることが必要です。

そして通級している児童生徒が「みんなにわかってもらえてよかった」と思えることが大事です。つまり、通級をしていることがマイナスのイメージにならないようにすること、より良くなろうとすることを認め合えるようにすることが大事です。


例えば、「誰でも『できるようになりたい』『もっと上手になりたい』と思って頑張っていることがありますね。上手になるための方法や場所はいろいろあります。○○教室は遊ぶ時のルールを覚えたり気持ちを落ち着かせたりする練習ができる教室です。Aさんはお家の人と相談して、この練習を始めることにしたそうです。Aさん、頑張ってくださいね」などと説明します。


また、通級による指導で受けられなかった授業の補充は、状況に応じて、プリントを渡したり、次時の中で復習としておさらいをしたりするなどの工夫をします。
在籍学級の担任には、周囲の意識が本人にストレスを与えることのないように、違いを認め合う学級集団作りを依頼します。

学級担任や教科担任との連携

自校の学級担任や教科担任とは

休み時間や放課後を利用して、児童生徒の在籍学級での様子や通級による指導の様子を日常的に情報交換します。その情報を基に、児童生徒が在籍学級でうまくいっているところを通級による指導に生かしたり、通級による指導の成果を在籍学級でも取り入れてもらえたりすることができます。

他校通級における連携では

他校通級の場合は、在籍学級の担任と直接会う機会が少ないので、電話やメールで直接、連絡をとります。授業参観、連絡ノートなどの活用、担任連絡会は他校通級においても行いますが、授業参観や担任連絡会については、学校訪問となるので、校長を通しての連絡が必要になります。在籍校を訪問した際は、特別支援教育コーディネーターにも会い、連絡を取り合えるような協力関係をつくることが大切です。

■監修・著
小林倫代(こばやし・みちよ)
独立行政法人国立特別支援教育総合研究所名誉所員